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UNDER THE COUNTER“paper moon”に寄せて Interview with Kentaro Sekiya & Yo-hey Yoshimura text by Satomi Yamasaki (le thew)

UNDER THE COUNTERは比較的恵まれた、順風満帆の航路を進んできたバンドだった。大学の音楽サークルで結成し、都内を中心としたライヴ活動やコンピ盤参加で注目され、程なくCDデビュー、そして翌年にはメジャーデビュー。名だたるバンドのフロントアクトやサポートアクトを務めたことも、大型フェスへの出演経験もある。そういった順当な流れは、言うまでもなくUNDER THE COUNTERというバンドの魅力が呼び込んだものだし、相応の苦労もあったことは容易に察することができるが、それでも、ひしめく数多のバンド・シーンから抜け出せるに十分な環境は整っていたと思う。そんな、言うなれば“巣”のような場所を自ら離れて「二進も三進もいかない」ところから始まった日々が、この2年半である。歌うべき歌が生まれ、鳴らすべき音が生まれるまでの格闘の日々。起爆剤のひとつは、サポート・ベーシスト、朱雀佑輝の加入であろう。曲のダイナミズムや歌のストーリーを的確に理解し、タイトに、アグレッシヴにリズムを形成していく彼の技量と姿勢は、バンド・アンサンブルに多大なる影響を与えており、結果、明らかに以前とは違うタフなバンド・グルーヴとヴァイブが生まれるに至っている。そして、摩耗されることなく鋭意に磨かれた6曲が収められたアルバム『paper moon』は、これまでに無く彼等自身と音楽とが肉薄した作品となった。

『paper moon』は、まさに今のUNDER THE COUNTERをそのまんまパッケージしたような作品になったね。
うん、だねぇ
アンサンブルとしてはまだ未完というか粗削りな部分もあるけども、そういうのも含めて、今のバンドの姿そのものだなと思って。自分たちでもこれがはじまりだって心持ちを書いてるけど、ここまでの葛藤を受け止めてしっかり咀嚼したうえではじまりの地点に立っているという感じ、切迫感に溢れつつ颯爽としている感じがね、非常によかった。で、その肝が、ラストの『ハピネス』であろうと思うんだけども。
あれはねぇ、曲を作った時から歌詞に時間がかかるだろうと解ってはいたんだけど、やっぱりいちばん時間かかったね(笑)
えーと、UNDER THE COUNTER初のアルバム『POOL OF CIDER』の某音楽誌ディスクレビューで、関谷謙太郎という人間がもっと剥き出しになる瞬間が見えるといいなというような希望的観測を、私はその文章の最後に書いたんですが(笑)。
覚えてるよ(笑)
その瞬間がきたことを、『ハピネス』を聴いて初めて実感しました。
そう、これはもう、最初聴いた時すごいびっくりした。ギターで弾き語りみたいな感じで聴かせてくれたんだけど、謙太郎からこういうメロディーが出てくるんだ、そういうもの持ってたんだってことにまず驚いて。その時はまだ歌詞はのってなかったんだけど、すでにもう、謙太郎の歌詞の中でも最高傑作になるっていう直感的なものがあって。で、やっぱり、結果的にもそうなったと思う
今回のアルバムってどの曲も、今現在の自分というのを非常にストイックに見つめていると思うんだけど、それが最後の『ハピネス』に至って初めて、“あなたはどうですか?”ということを投げかけてくるんだよね。静かに、澄明な鋭い視線で投げかけてくる。聴く人ひとりひとりに対して、生きるということだったり死ぬということだったり、今ここに居るっていうことだったり、ある種人間の根底についてを、答えを求めて問うんじゃなくて考えることそのものを促してくる、というか。そこが他の曲と大きく違うとこで。
そうだね、うん。居る場所が、他の曲とはちょっと違うね。『ハピネス』って、曲自体はすぐ出来たんだ。もう一番のサビまで、スッと出来て。その時に、それ以前にあった今回のアルバムの曲とは違ったもの…ていうか、俺こういう曲書いたことねーなっていう曲が出てきたな、って思ったんだよね。でメンバーに聴かせたら、良いって言うから、嬉しかったんだけど(笑)。ただ、なんていうか…苦労して、ああいう曲を作りたいと思って作ったわけじゃなくて、家でギター弾いててスッと出来たから、自分でも驚いたね。で…ちょっと“やった”とも思った
今、こういう曲が出てきたのは、なんでなんだろうということは考えたりした?
ん~…そん時は、なんで、今俺からこういうのが出てきたんだろうとか深く考えなかったけど…でもたぶん、今の4人になってやっているバンドの空気とかモチベーションとかがあって、そこに身を置いているからこそ出来た曲のような気がするし、あともうひとつは、これはバンドマンであること以前に…去年震災があって、まぁバンドの空気にも繋がってることだと思うんだけど…いろんなことがさ、生きてる人皆それぞれに、意識とかも、変わったと思うんだよね、まぁ変わんない人もいるかもしんないけど。…そういうことがあったことによって、今俺が身を置いてるバンドの空気っていうのも、メンバー個人個人の思いが、じゃあこの状況でバンドやるってどういうことなのかとか、いろんな思いが集まって作られてると思うから。だからやっぱり、その現状のうえに出来たものなんじゃないか、っていう気はするけどね。漠然とだけど、それまでに書いてたものとは感覚が違うから
じゃあ…作ったというより、生まれたという感覚のほうが近いのかもしれないね。アルバムには『ハピネス』のムービーとして『film of happiness』という映像作品も収められてるだけども、いろんな動いていく景色、絶えず変わり続ける風景の中に、非常に生々しい黒瀬さんの写真が、まっさらな空白に徐々に写し出されていくという過程と共にあって。で、その空白は、目には見えなくとも確かにある絵、被写体を収めてて。それが段々と露になっていく様子が、アーティストがその心を表現するって行為にすごく近いなと思って。音楽家であれば、歌詞を投げる、音符を投げるもっと以前に、心に蠢いているなにかがあって、そのなにかが曲、音楽として体を成していく。それで形(音楽)になった時に、自分自身ですらも初めて気付くことがあったりとか。そういうことを思わせるような、とても面白い試みだし、イマジネイティヴな作品だな、と。
うん、うん、そうだね、歌詞もまさにそんな感じだなと思う。『ハピネス』って、なんかホントに…明るみになってきたなっていうような感じだと思うんだよね。それで自分がどういう風に思ってたのかとか、いろんなことに対してどういうふうに思うのか、考えるのかとかが、自分で出して自分でも解るっていうかさ。それは元々あったもんだと思うんだ。…だから、うん、まさに“今になって気づいた”っていうさ。良いことも悪いこともそうだと思う
結局、誰か、何かの為にこういう曲を作ろうとかっていう話じゃなく、自分がどこまで自分に忠実なものを作れるかっていうことじゃないのかなって、あらためて思う。
うんうんうん
そうだねえ、だから、そういった意味では、やっぱり人に聴いてもらうってうえで最低限そうであるものを作らないと失礼だよなと思うよね
そこは、最低限背負ってくぞ、と。
うん
まぁこれで、前作で感じていた違和感というようなものは完全に払拭されたよね。今の自分と、その自分たちが作ったものに隔たりは全然感じないんじゃないかなと思う。
うん、それはホントそうだね
そう思うと、例えば『Hey Joe』ていう曲にしても、ただの初期衝動ではないし、所謂パンクやガレージをやりたくて作った曲でもないってことがよく解る(笑)。
うんうんうん、そうそう(笑)
そうだねぇ。まぁ曲調、曲の感じっていうのは所謂パンクとかに則ってんのかもしれないけど、やっぱり、ホント今の俺じゃないと歌えないと思う。今どういうヤツラとバンドやってて、どういうふうに生活してて、っていう自分の居る場所っていうかさ、今立ってる場所でしか生まれない曲だと思う。だから、背伸びもしてないし、逆に遠慮してるとこも無いし、うん。今立ってる場所で起こってること、思ってることを歌ってるっていう実感はすごくあるね
『たまんないね』なんかは、その最たる歌としても捉えられるよね。
『たまんないね』は、さっきの謙太郎の弾き語りの話に戻るけど、完全に弾き語りでしかやんなくて、本人はバンドではやらないっていうふうに言ってて。でも俺は、最初に聴いた時から、すぐに口ずさめるぐらい、すごくいいなと思ってて。歌詞もストレートに入ってきて、何より謙太郎らしい曲だし、これこそバンドでやるべき曲なんじゃないかなっていうのはずっと思ってて。それで今回のレコーディングにあたって謙太郎に、“『たまんないね』は今こそバンドでやるべき曲だと思うよ”って伝えて、じゃあレコーディングしようってことになったんだけど。元々もっと土臭い、ベタッとしたいかにもフォーキーな感じだったんだけど、朱雀さんがリズムのアイディアを出してくれて、より曲の魅力、歌詞の繊細さとかが引き立つアレンジが出来た。なんつーか…今回『ハピネス』ていう曲が肝にあるけど、より謙太郎のパーソナルな魅力というか、普段見てる謙太郎にいちばん近いのが『たまんないね』なんじゃないかなと思ってて。それを、UNDER THE COUNTERとして表現できたっつーのが、ずっと10年くらい謙太郎を見てきた俺としては、すごい嬉しかった。だから、すぐ近くにいる友達にも気に入ってもらえるだろうし、お客さんにも謙太郎のことが誤解なく伝わるだろうし。かつ、UNDER THE COUNTERっていうものがちゃんと伝わるような曲なんじゃないかな、というふうに思うから、それを今回バンドで出来たっつーのが、俺の中ではすごい、よかったなぁ、と
ああいう曲をバンドで、すごく刺激的な、というか熱狂的なアンサンブルでやるっていうのが、非常に恰好いいし、グッとくる。元々、駅前でストリートの弾き語りみたいなのをやってて出来た曲なんだっけ。
そう。弾き語りばっかりやってた時に、まあやっぱり新曲を作っていきたいなと思って。自然に、バンドとは関係なく曲が出来始めた時期だったから、その流れで出来た曲なんだけど。でも『たまんないね』だけは詞先で。歌詞が先にあって、そこから歌いながら作りたかったから、近所迷惑も考えて、ちょっと外に歌いに行こうかなと思って駅前で歌いながら作ったんだよね。…我ながらなんか、“フフフッ”って思ったけどね(笑)、出来た時は。それこそ歌っててすごい自然だし、弾き語りでは必ずやってたんだけど、でもどっかしらUNDER THE COUNTERとは関係ない(曲だ)と思ってた。だからバンドには持っていかなかったんだけど。でもなんか色々、プリプロとかレコーディングをやってく中でね、うまくいかないことがいっぱいあって。(本作収録の6曲以外の)他の曲とかもあったんだけど、どうしても篩にかけられる瞬間もあって。それで、なんか…これがUNDER THE COUNTERっぽいかとかそういうことはもうどうでもよくなって。自分ていうものを出し惜しみしてる場合じゃない、出し惜しみしたくない、と思って。そう思ったのは、実は最初はライヴでだったんだけど、まぁけっこう、バンド的にちょっと煮詰まってる時期のライヴで。俺に何かやれるとすれば、もう自分を、その腹の中を見せるっていうか、そういうことしかないなと思って。それで、俺がどうしてもライヴでやりたいって言ってやった。そん時は今のアレンジじゃなくて、俺が弾き語りでやってたホントにプリミティヴなアレンジでやったんだけどさ。で、あらためてアルバムにどの曲を入れるかって話し合った時に、やっぱり絶対この曲は入れるべきだって思ったんだよね。それでアルバム入れるならじゃあアレンジどうするかってとこで、さっき洋平さんが言ったみたいに色々リズムだとかも練って、今回発表するわけだけど。なんか、皆が提案してくれた今のリズムとかアレンジがすごい、いい感じで。俺、あの間奏のギターがね、すごい好きなんだよ。最初プリプロしてる時は、もっとギターソロっぽい感じで、俺もそういうふうに弾いてってたぶん言ってて。でもやってくうちに、ひとつ風が吹くような感じでさぁ…っていうことを言った時に洋平さんから出てきたのが、あのギターソロで。アレで、俺はまたひとつUNDER THE COUNTERのことが解ったような気がしたんだよね
こう、ギュインッと力が入った、所謂ギターソロではないよね。
でも力の入ったギターソロよりも、それ以上に寡黙で、雄弁な気がするんだよ。あらためて、ずーっと10年一緒にやってきてる洋平さんのギターっていうものを、あの間奏のギターソロで、“これこれこれこれ!”って感じですごい納得がいったというかさ。いいね!っていうか好きだなあって感じ、そこらのギターソロなんかより、なんていうか…すごい、その人の、弾いてる人の人間味とか心根とか、そういうのがガンガン伝わってくる。あの静かで美しいフレーズが、俺にはすごく熱く聴こえるんだよね。だから、『たまんないね』とか『ハピネス』みたいな曲っていうのは俺にしか書けないと思うんだけど、それと同じように、あの間奏のギターは洋平さんにしか弾けないって思ったんだよ。それはすごい…気付かされたことでもあるし、単純に嬉しかったことでもある。すごい感動した。…ギューンッてやるより太かったりとか芯があったりとか、それが例えばか細いアルペジオであっても、そういうことじゃないんだってことを、気付いた。洋平さんが、この曲をこう演奏してる、この音を選んでるっていうことが、ギューンッてやることより、全然、大きいことだなあって
確かに、『たまんないね』にしても『ハピネス』にしても、音色、フレーズ、あとギターの歌への寄り添い方っていうのも、洋平さんならではのものだなと思う。
まぁそんな意識してやってるわけではないと思うんだけど…意識しなかったからああなったのかもわかんないけど。なんか…得意なことをそのままやった、っていう感じかなぁ。でもやっぱ、以前とは違うんだよね、何かが
きっと、関谷が曲を作る時にフラットであったように、洋平さんのギターもすごくフラットなところから生まれたということだよね。で、こういう作品は、リリースして、売れようが売れなかろうが、それは全く関係ないというか。もちろん売れたほうがいいに決まってんだけど、たとえ売れなくてもこの作品の価値は変わらないし、バンドの立ち位置も変わらないなという感じがある。
変わらないねぇ。もちろん、自分らは良い作品だと思ってるし、いろんなことを経てしっかり自分らを表現できた最初のアルバムだと思うからさ、いろんな人に聴いてもらいたいっていうのはもちろんあるけど…けど、例えば“良かったよ!”って言ってもらって、より良いほうに変わることはあっても、あんまり売れなかったとか、あんまり好きじゃないとか、そういうことで変な気は起きないと思う(笑)。いや、もうコレですから、っていう気持ちだからねぇ。ま、もっといい音に出来るとか、もっとバンドアンサンブルを突き詰めたいとか、そういうのはもちろんあるけどね
ただ、そういう荒削りな部分の話じゃなくて今回のアルバムを良くない、嫌いって感じる人が居たら、その人はたぶんずっと一生UNDER THE COUNTERのこと嫌いだと思うよ、極端な言い方だけど(笑)。
あー、うん、そうだと思います。今回は、表現したいものがあって、それをどう表現するかっていう方法を知って、そこで全力を尽くしたアルバムだから、後悔は今まででいちばん無い。コレ気に入ってくれないんだったらもう仕方ないし、誰かの感想次第で俺らが落ち込むこともない(笑)。その代わり…ファースト・アルバムだから粗い部分もたくさんあるよっていう(笑)。だからこそ次は、もっといいの作れるよ俺らっていう感じにすごい満ち溢れてる。次はもっといいアルバムになるよって自信を持って言えるし、何よりこの『paper moon』いいだろ?って、コレが俺らなんだよってきちっと胸はって言えるものだと思ってるから
なんかねぇ、『ATHLETIC IN THE FOG』ていう俺らの3rdアルバムがあるんだけど(笑)
ええ、ええ、UTC作品の中で私がいちばん好きなアルバムですね。
だから言うわけじゃないんだけど(笑)、なんか、今回のアルバムのmixが上がった時かな、並べて初めて聴いた時にさ、あのアルバムのことを思い出して。あのアルバムも、それまでと違う、ちょっとまた新しい気持ちで作ったアルバムなんだよね
(曲の)ストックがゼロになって、全部一(いち)から作ったね
そうそうそう。で、あのアルバム作り終わった後に思った感じっていうか、それがちょっと似てんだよね。(作品の質としては)同じじゃないけど、感覚の種類としてちょっと似てて。作り終えた後の気分とね。でもあん時はね、『ATHLETIC IN THE FOG』は皆にあんまり気に入ってもらえなくて(笑)
そうらしいねぇ。おかしいなぁ(笑)。
で、俺たちもさぁ、自信持ってりゃあいいものを、あぁちょっと違うのか…とか思ったりもしてね(苦笑)。だから、あの時と違うとすればそこかな。今回は、そうじゃない。何を言われても、ブレない
でもホントに、『ATHLETIC IN THE FOG』の曲は、今こそやればいいのに、と思ったけどね。7/14と、それ以降のツアーとで。『ROUTE13』とか『Captain Chicken Heart』とかは、今歌うべき歌なんじゃないのかなぁ、とね。
うん。間違ってないとないと思うよ…はっはっはっはっは(笑)
まぁあの、キーが高くて歌えないとか言う軟弱なヴォーカリストがいたりもするんでね…歌えるもんなら歌ってみやがれ(笑)。
いますねえ(笑)
はっはっは(笑)

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